2012-01-01から1年間の記事一覧

年越しの日のこと

年越しそばを食べようかなと国分寺まで出たバイトの帰り道。 そばを食べようにも、行きつけやらお目当ての蕎麦屋があるわけでもなく、てんやにでもそばあるかな、くらいの簡単な気持ちでふらりと向かった。 時刻は午後9時。 駅を降りると、ぽつぽつと飲み屋…

8月の終わりのこと、なんて

何をしていたのだろうか。よく覚えていないけれど、帰り道。ふと空を見上げたらなんかやたらと月が綺麗で。 あとで聞いた話だと、満月だったみたいだ。満月近くの月って、なんかどれも同じに見えて、ちょっとくらい欠けていても満月に見えてしまうものだけど…

気だるさに満ち満ちて

夏だ。暑い。 梅雨明けはしたのだろうか。 7月も既に半ばに差し掛かっていた。 部屋の窓は開け放たれて、扇風機がぐるぐると回っている。冬の気だるさと夏のとは似たようで決定的に違っていて、夏はなんというか体自体が重たくなってくる。 もしかしたら、睡…

カムパネルラはどこへ行ったのかな

「あと少しなんだ」 その言葉が頭をちらつくことが最近多い。 だけど、それはふとした瞬間に訪れて、気がつかない間に消えてしまう。 理性的な言葉なんていうものではなくて、ぽつりと波紋のように心の中に浮き出してくるのだ。「あともう少しで、すごくよく…

余白

時間をうまく使うのは昔から上手くなかったように思う。 それでも数年前は、使っても全く磨り減らないようにすら感じる思春期の膨大に有り余った時間においては、常に余白が残されていて。 その中で飽きっぽい故にいろいろなことをやっていた僕はやれ、本を…

『文化系体育会』

まあ昔から書評やら感想文というのを書くのがものすごく苦手だった。 というのも、そういう分析的な読み方をするのは苦手だったし、面白かったものについて語ろうとしても、楽しかったやら面白かったやら、そういう陳腐な言葉しか出てこなくて書いているうち…

濃紺

襖を開けると午前3時の匂いがした。 春はゆっくりと近づいてきたこの季節とはいえ、まだまだ暗くなると少し寒い。 季節の変わり目と呼ぶにはふさわしい、寒いとも暑いとも言えないような曖昧な空気だ。 僕は昔から寝つきが悪くて、寝床に入ってからすぐに寝…

何が残ったのだろうね

雨の日はあまり好きではない。特に春の雨は。色を取り戻したかのように見えるこの季節に、唐突に訪れる泣き顔は、映画の中の回想のように思えてしまって、どうにも落ち着かない。得てしてこういう時に訪れる記憶というのはあまり触りの良くないものばかりで…