消費

ものというのはいとも簡単に壊れるのだなあと。
比喩ではなく。本当にたやすく。

自分は物持ちが悪い方ではないと思う。
物は一度買ったら壊れるまで使うし、服だって本当に着れなくなるほどボロボロになるまで着ている。
汚らしいと言われたことも数知れない。

だけれど、物はよく壊す。
壊れるまで使うけれど、すぐに壊してしまう。

この前、ある人に
「お前には物の扱い方もその値段もわかっていない」
と言われた。
きっと今まで僕が無駄にしてきたものの値段を考えれば、かなりの額になっていることは想像に難くない。
世の中、何をするのにだって、お金はつきものだ。
移動をするのだって、車、電車、自転車だって買わなければ乗ることができない。
勉強をするのだって、参考書、授業料、受験をするなら受験料だってかかるだろう。
ひとり暮らしの生活なんてしようものなら、電気、水道、ガス、家賃、基本的なことにだって全てお金はかかっている。
そのうち、空気にだってお金がかかるのかもしれない。

物事の裏側にはいつだって、お金が絡んでいる。
嫌な話だけれども。

頭ではわかっているのだと思う。
ただ、実感が付いてきてはくれない。一年間、貧乏暮らしをしたというのに。
無料という言葉に踊らされ、何割引きかということに目を光らせ、手元にある金をいかにやりくりするかということばかりに囚われてしまう。
安いものが溢れすぎて、ものが壊れることに慣れてしまっているのかもしれない。

今日もまた一つものを壊してしまった。不用意すぎる行動のせいだと思う。
思えば、小さい時、何か物を壊してしまうたびに、泣きそうになっていたのを思い出す。
捨ててしまうという母に、悲痛な声でやめて、まだ使えるから、と懇願していた。
その時の気持ちを少し、思い出した。

使えなくなってしまったものを捨ててしまうのはしょうがないことだ。
だけど、それを惜しむことよりも、どうすればそれが長持ちするか、ということに気を配ってあげたほうがいいのだろう。
もう少し、そういうことに敏感になれればいいなと思うし、そして周りのものを大事に大切に扱うことができればいいなと思う。