カムパネルラはどこへ行ったのかな

「あと少しなんだ」
その言葉が頭をちらつくことが最近多い。
だけど、それはふとした瞬間に訪れて、気がつかない間に消えてしまう。
理性的な言葉なんていうものではなくて、ぽつりと波紋のように心の中に浮き出してくるのだ。「あともう少しで、すごくよくなるような気がするんだ」なんて。
それが何なのかは全くよくわからなくて、それについて深く考えることもできない。
漠然とすごく綺麗な素晴らしいものが目の前にあって、それを掴めそうな気がするのだ。
けれど、それは絶対につかめないものだし、つかんでもするりと抜けてしまうだろう。
だってそんなものでしょ?幸せでも愛でも、なんでもいいけど、そういうよくわからない何かってさ。

だけど、こんなのから逃げきれるわけないよね。
近づいただけでこんなに気持ちいいんだもの。絶対手に入らないんだから、確実にジリ貧だろうけれど。
ほんと、ぶら下げられたニンジン、とはよく言ったものだと思うよ。
なんて。