セミの声が聞こえる

「夏休みはやっぱり短い」なんていう一昔前の曲を耳にして始まった8月は怠惰に優雅に過ごされる。優雅に生きることが最良の復讐とは言うが、果たしてこの生活が何に対しての復讐なのかはまったくもって知らない。夏の暑さに対する復讐なのだとしたら完全な見当違いで、日常の退屈さに対してなら八つ当たりも甚だしい。とはいえ先月までの涼しさはどこへやら、日本の夏というべく蒸し暑さが東京には満ちていて、外に出るのも億劫。思うに、暑さは人類の的なのかもしれない。「暑いけれど、嫌じゃない」ような気分になれればいいものだけれど。
退屈だとずっとぼやいてはいるけれど、実のところこういうのんびりとした生活は別に嫌いではなくて、むしろ一生このまま続いていければいいのになあと思ったりもする。たぶんいつか飽きるのだろうけれど、そうしたら忙しくなればいいななどと都合のいいことを考えていたりする。要するに自分のバイオリズムに合わせて周りのことが全て動いてくれれば楽という話で、天動説もびっくりな話だけれど、余裕があればそういうこともできるようになるのかな。たぶんそういう生活は学生のうちにしかできないはずで、、社会にコミットすればするほどそれらに縛られていってしまう。今はバイトをしているからある意味社会に入り込んでいるわけなのだけれど、たかだか5,6時間の拘束など全然少ないほうだし、適度な他者との交流はそれなりに安心感を覚えさせるから結構楽だ。学校が始まってしまえば、ほぼすべての時間をそこに費やさなければならないから結構面倒だったりもする。